【大学】小樽商科大学様|ハイブリッド講義の音響を大幅改善、多様な学生へ教育を届けるための礎として期待|MXA920、P300
はじめに
“Shureのシーリングアレイマイクは意識することなく、学生に顔を向けて普段通りに講義をするだけで、音声がクリアに収音されます。シュア・ジャパンのサポートも手厚く、安心して導入できるソリューションだと感じました”
小樽商科大学ビジネススクール(専門職大学院)アントレプレナーシップ専攻長教授籏本智之氏
お客様プロフィール
◎導入事業者
国立大学法人北海道国立大学機構小樽商科大学
事業内容:教育機関
https://www.otaru-uc.ac.jp/
◎導入場所
導入場所:小樽商科大学 札幌サテライト 講義室
竣工日:2024年2月
課題
小樽商科大学の札幌サテライトでは、社会人を対象とした専門職大学院(ビジネススクール)の講義を提供しています。コロナ禍を受けてリモート/ハイブリッド講義が必要となり、PC標準のカメラ/マイク機能やハンドマイク、卓上のスピーカーホンを品質や使い勝手に不満を抱えながらも利用していました。コロナ禍が収束に向かう中、距離の離れた2大学との経営統合やネットワーク型大学院構築事業への参画により、リモート講義のニーズはさらに高まり、質の高い教育を提供するために、音響を中心とした教室設備の改善が急務となりました。
ソリューション
最大60名を収容する広い大講義室があり、中小の講義室は壁を連結して一部屋として使用することもできます。また講義は、グループディスカッションなど座席配置を変更することが多く、講義ごとにマイクの配置換え等の準備が不要であること、部屋全体の音声を収音できることなどを条件とし、また他大学での事例などを参考にして、Shureのシーリングアレイマイクをソリューションとして注目しました。札幌サテライトでの現地デモンストレーションを経て、大・中・小3つの講義室すべてに「MXA920」を採用しました。
効果
欠席した学生のキャッチアップのために、修士論文に相応する重要な講義(ビジネスワークショップ)の中間発表会を録画配信。発表内容はもちろん、質疑応答もクリアな音声で聞き取りやすく、対面とほぼ同等の音声環境を提供できました。通常の講義でも、学生に顔を向けて普通に講義をするだけで、クリアな音声が記録されていました。多様な学生へ教育を提供したい小樽商科大学にとって、講義の自動音声認識・テキスト化を通じた聴覚障がい者サポートや、ユニバーサル・ユニバーシティ構想におけるリモート講義の拡大に向けて、Shureソリューションは重要な役目を果たすものとして高く評価しています。
【スペシャルインタビュー】
高まるリモート講義のニーズ、音響改善で教育の品質向上へ
小樽商科大学は、1910年(明治44年)に日本で5番目の官立高等商業学校として開校された小樽高等商業学校を前身に持ち、国立大学としては唯一の社会学系単科大学です。110年を超える歴史の中で、北海道を中心とした産業の興隆および学術・文化の発展に寄与してきました。
小樽商科大学は2004年に法人化され、同年には社会人を対象としたビジネススクール(アントレプレナーシップ専攻/専門職大学院)を新たに開設しました。北海道経済は、1997年に山一証券と北海道拓殖銀行の相次ぐ破綻を経験し、一時混乱の状態にあったことが知られています。これを受けて同大は北海道のビジネスリーダーを育成することの重要性を改めて学び、北海道庁を交えて教育体制の強化にいたりました。
小樽商科大学ビジネススクールでは、平日の夜間に札幌駅西口近くのビルに設置された札幌サテライトで授業を提供しています。札幌市周辺の社会人が通いやすく、商業の研究会やセミナーなどを開催しやすいのが特長です。同スクールでは、札幌市周辺に務める社会人を中心に、ビジネスリーダーやビジネスイノベーターとしての能力を備えた、アントレプレナーシップ(企業家精神)にあふれたMBAホルダーの育成を目指しています。
「当時、私たちは、米国視察など含めて入念な情報収集と検討を行い、2003年に設けられた新しい専門職大学院設置基準に則った高レベルな教育をスタートさせました。座学だけでなく、ケーススタディやビジネスプランニングなどの実践的な講義を必修としたのです。ふだんの勤務後に通学する社会人が中心なものですから、座学よりもワークショップやディスカッションなど、学生が主体的に参加する講義を設定しました」と、小樽商科大学ビジネススクール(専門職大学院)のアントレプレナーシップ専攻長を務める籏本智之教授は述べています。
高度な経営人材を育てる小樽商科大学ビジネススクールでは、講義に関する課題がありました。札幌サテライトには大・中・小3つの講義室があり、原則対面で講義やディスカッションを行っています。とはいえ学生が社会人のため、会社の都合などで授業に参加できないケースもあります。そこで同大では、講義を録画して欠席者が視聴できる仕組みを設けています。
このいわゆるビデオ講義のニーズが、コロナ禍で大きく変化しました。感染症予防のため所属企業から出席を禁じられるケースもあり、通学しなくとも授業を受けられるリモート講義の必要性が増したのです。そこで講義室で直接参加する学生を半数にとどめ、残りはリモートで受講するハイブリッド授業を提供することにしたのです。
そこで問題となったのが、講義映像・音声の品質です。リモート講義を始めた当初、PCに搭載されたカメラやマイク、スピーカーを利用していましたが、特に音声が聞き取りにくい点が問題視されました。授業のあとで学生から「聞こえなかった」と問い合わせを受けるケースが頻発していました。また、教員にとってもPCのマイクを意識して話さなければならないため、授業が進めにくいという声が上がっていました。既存のハンドマイクの音声をPCに取り込んだり、USB接続タイプのスピーカーホンを試したりしてみたものの、音声品質や使い勝手を改善できたとは言えませんでした。
「コロナ禍が収束に向かい、リモート講義が少なくなるものと我慢して授業を行っていました。ところが、2022年に帯広畜産大学・北見工業大学との統合が決定され、学生がリモートで相互に授業を受講できる可能性が生まれました。さらに、文部科学省が推進する『人文・社会科学系ネットワーク型大学院構築事業』に参画することが決定しました。つまり、大学連携によるリモート/ハイブリッド講義のニーズが増すというわけです。現状の環境では十分な講義を提供できないため、特に音響を大幅に改善すべきと考えました」(籏本氏)
部屋や講義の要件へ柔軟に対応できるシーリングアレイマイク
小樽商科大学札幌サテライトの音響設備を改革するにあたり、籏本氏は、早くからShureのソリューションを検討していました。ある公開フォーラムで、他大学のビジネススクールがインタラクティブな講義にShureのマイクを活用している例を知り、以前から注目していたのです。エンターテインメントを中心に品質が認められていることもあり、Shureのマイクを念頭に選定を進めていました。
「ビジネスシーンでよく利用されているShureのシーリングアレイマイクに注目していました。札幌サテライトの中講義室と小講義室は壁を連結して一つの講義室として使用することができるので、フレキシブルな運用ができるマイクが必要だったのです。グループディスカッションなどでは席を変更することも多く、デスクに設置したり壁に掛けたりするマイクは向きません。Shureのマイクであれば学生がどこに居ても的確に収音できるため、最適な解決策だと考えました」(籏本氏)
籏本氏が問い合わせると、シュア・ジャパンは北海道のパートナー事業者と連係して札幌サテライトでのデモンストレーションを実施しました。天井設置に近しい状況で収音性能を確かめることができ、「安心して導入を決断できた」と同氏は振り返ります。
ふつうに話すだけでクリアに収音、道内高等教育への貢献に期待
小樽商科大学札幌サテライトでは、60名を収容できる大講義室のほか、それぞれ40名/20名収容できる中講義室・小講義室に、それぞれシーリングアレイマイクロホン「MXA920」を導入しました。シュア・ジャパンのアドバイスに従って、広い大講義室には全体をカバーするためMXA920を2台設置しています。
現在リモート講義の数は減っているものの、最近では、修士論文に相応する重要な講義(ビジネスワークショップ)の中間発表会を録画し、欠席した学生のキャッチアップのために配信したとのことです。学生の発表を聴講して意見を述べるということもあるため、音声品質は非常に重要でした。Shureのマイクによって、非常にクリアな発表内容を届けることができたとのことです。
「自分の講義をWeb会議ツールで記録してみたところ、非常にクリアな音声が録れていて驚きました。ふつうに話す音量で学生の顔を見ながら講義をしていたのですが、プロジェクターの機械音などもいっさい残っておらず、私の声がはっきり聞こえます。シュア・ジャパンのエンジニアがしっかり音響を調整してくれましたし、パートナーのインテグレーションで講義の準備や利用も容易です。天井に機器を埋め込むため、室内の機器やケーブルを減らせるのもメリットですね」(籏本氏)
籏本氏は、シュア・ジャパンのサポートについても高く評価しています。特に、札幌サテライトにとって機器や設計、設定を含む最適なシステムを検討し、プロフェッショナルではない自らにわかりやすく伝えてくれたことが印象的だったとのことです。社会人を対象とした学校のため、土曜日にも講義が入ることもあり、工期を細かに調整してスケジュールどおりに導入できたのも、シュア・ジャパンとパートナー事業者がしっかり連係したからこそと高評価です。
「私たちは教育機関として、多様な学生へ公平に教育を提供することが重要だと考えています。例えば、聴覚障がい者向けに講義内容をテキスト化したものを提供するなどの支援を検討しています。Shureソリューションによって講義録画の音声品質を向上したことで、AI技術などによる自動音声認識・テキスト化の精度が上がります。その意味で、将来にわたってShureのマイクが非常に重要な役割を担うのではないかと予想しています」(籏本氏)
さらに小樽商科大学では、道内の“大学のないまち”にサテライトを設置して、北海道全域へ高等教育を届けるユニバーサル・ユニバーシティ構想を推進しています。当然ながらリモート講義のニーズが増大し、Shureソリューションによる高品質な講義コンテンツが活躍することでしょう。籏本氏は、さまざまなサテライトで導入しやすい・利用しやすい音響設備が必要とし、小規模環境向けの新製品に注目しています。
「当初、製品メーカーがここまで手厚いサポートを提供してくれるとは考えてもみませんでした。しかしシュア・ジャパンは、道内のパートナーとしっかり連携し、私たちに最良のソリューションを提供してくれたと感じています。新しい拠点でも積極的に検討していきたいと思いますので、さらなる技術や製品の発展を期待しています」(籏本氏)
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導入製品
製品名 | 量 | 説明 | |
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MXA920 | 4 | オートマチックカバレッジ™テクノロジーで、最大8つのカバー範囲で話し手の声を捉えます。話し手の位置情報が強化され、カメラトラッキングがさらに正確に。 | |
IntelliMix P300 | 4 | シンプルながらも強力なDSPが、高品質、手軽、費用対効果に優れたビデオ会議アプリケーション向け音声を提供。 |