【自治体】 登別市役所様 | “文字起こし”の自動化を実現するべく、デジタル・ワイヤレス・システムを導入 | Microflex Wireless

【自治体】 登別市役所様 | “文字起こし”の自動化を実現するべく、デジタル・ワイヤレス・システムを導入 | Microflex Wireless

はじめに

言葉が聴き取りやすいので、これまで以上に高い精度で文字起こしが行えるようになりました

登別市総務部行政経営グループ 総括主幹 菊地徹様

お客様プロフィール

◎ 導入事業者

北海道登別市役所
業種:地方自治体
https://www.city.noboribetsu.lg.jp/

◎ 協力事業者

システム・インテグレーター:ソニーマーケティング株式会社
https://www.sony.jp/professional/index.html

◎ 導入場所

導入場所:北海道登別市役所本庁舎
竣工日:2021年3月26日

課題

登別市役所本庁舎の複数の会議室は狭隘で、委員会室の役員室を活用しています。そこで行われる会議や委員会の多くは原則、“文字起こし”をして議事録を作成する必要があり、その作業が市職員にとって大きな負担になっていました。また、会議や委員会は、ICレコーダーの内蔵マイクで録音していましたが、決して収音能力が高いとは言えず、これも文字起こしに時間がかかる要因の一つでした。一方、同市のウェブサイト上で中継・配信する委員会の音声も明瞭さが足りず、文字起こしと併せてマイクロホンによる高品質な収音設備が必要とされていました。

ソリューション

システムは可搬型の機器ラックに収められており、運用する部屋が変わっても移動できる。

近年、ICTの導入によって業務の効率化を図っていた登別市役所は、その取り組みの一環として、文字起こし作業の自動化を検討。いくつかの文字起こしソフトウェアを試験する過程で、精度の高い音声認識を実現するためにはクリアな音質での録音が不可欠であると判断し、デジタル・ワイヤレス・システム Microflex Wirelessの導入を決めました。

Microflex Wirelessは、デスクトップ型送信機 MXW8=-Z12が15台、8chのアクセス・ポイント MXWAPT8=-Z12が2台という合計15チャンネルの構成で、複数の会議室で使用できるように仮設のシステムとして運用。収音能力を上げるため、デスクトップ型送信機には通常よりも長い(約38cm)グースネック・マイクが取り付けられ、またノイズ除去/ミキシング用オーディオ・プロセッサーとして、P300-IMXも導入されています。実際に会議や委員会を録音する際は、P300-IMXのアナログ出力がICレコーダーに接続され、またUSB端子にApple iPadを接続し、ソフトウェアによる自動文字起こしもできるようになっています。また、議会中継・配信用の音声もこのプロセッサーから出力されます。

効果

2021年3月から運用されているMicroflex Wirelessですが、会議や委員会をクリアな音質で録音できるようになったため、これまで以上に正確な文字起こしが行えるようになったとのこと。登別市総務部行政経営グループ総括主幹の菊地徹氏は、その使用感について以下のように述べています。

「既に議会で10回くらい、凄いペースで使っていますが、大変満足しています。これまで使用していたICレコーダー内蔵のマイクと比べると、まったく音質が違いますね。言葉が聴き取りやすいので、これまで以上に高い精度で文字起こしが行えるようになりました。今後、文字起こしをある程度自動化することができれば、切り貼りと修正を加えるだけで議事録を作成できるようになります。可搬型のシステムで、送信機を設置してコンセントを挿し、電源を入れればすべて自動で繋がるので、操作性も凄く簡単です。けっこうな額の投資ではあったのですが、費用対効果を考えれば、2〜3年で損益分岐するのではないかと思っています。文字起こしと議会配信に加えて、将来的にはWeb会議などでも使用し、さらに多目的に活用してていきたいですね」(菊地氏)

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ユーザーの声 - スペシャルインタビュー
 

会議や市議会の議事録の元になる“文字起こし”の精度向上と議会配信の高音質化を図るため、また将来的な文字起こしの完全自動化を見据えて、デジタル・ワイヤレス・システム Microflex Wirelessを導入した登別市役所。数あるワイヤレス・システムの中からMicroflex Wirelessを選定した理由は何だったのか。登別市総務部行政経営グループ総括主幹の菊地徹氏、システム・インテグレーターであるソニーマーケティング株式会社の小笠原賀津雄氏にお話を伺いました。

登別市総務部 行政経営グループ総括主幹 菊地徹氏(右)とソニーマーケティング株式会社の小笠原賀津雄氏(左)

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● 大きな負担となっていた議事録を作成するための“文字起こし”作業

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——— 登別と言えば、国内屈指の温泉郷として有名です。
 

菊地 はい。登別温泉は、9種類の泉質を楽しめるのが大きな特徴で、国内外から多くの観光客に来ていただいています。どの温泉の大浴場も浴槽の種類はいくつかありますが、複数の泉質を楽しめるというのは大変珍しいのではないかと思います。また、どうしても温泉の陰に隠れてしまうのですが、3つの漁港で水揚げされる海産物や、道内随一の乳牛から生産される牛乳やプリンなど、食の特産品が多いことでも知られています。登別温泉には地獄谷という湧出口があることから、鬼や閻魔様が市のキャラクターになっているのですが、それをモチーフにした“閻魔やきそば”というB級グルメも最近は人気がありますね。

 観光資源に恵まれている登別ですが、室蘭市のベッドタウンとして発展した歴史があり、実はそのほとんどが住宅地なんです。北海道の中では比較的雪が少ないため、住環境に優れた街として、雪の多い旭川や札幌から移住される方々も多いですね。
 

——— 登別市役所では先頃、Microflex Wireless ワイヤレス・システムを導入していただきました。導入のきっかけをおしえていただけますか。
 

菊地 市役所で行われる多くの会議や委員会は、基本的にはすべて、議事録として文字で残さなければならないんです。ひとくちに議事録と言っても、一言一句正確に起こさなければならないものもあれば、決定事項だけを箇条書きでまとめればよいものなど様々なのですが、これが凄く労力がかかる作業なんですね。自分の頭で考えたことをパソコンに入力するだけでも時間がかかるのに、人が喋った内容を聴きながら起こさなければならないので、相当な時間がかかる。一言一句正確に起こさなければならない場合は、実時間の6倍くらいはかかるのではないかと思います。この文字起こし作業が職員にとってかなり負担になっていましたので、それをAIやICTを使って何とか自動化できないかと考えたのが、今回ワイヤレス・システムを導入したきっかけなんです。働き方改革が叫ばれて久しいですし、昔に比べると職員の数も減っていますので、少しでも効率よく業務をこなしていかなければなりません。単純な作業は職員のモチベーションも上がらないですし、何とか文字起こしを自動化することができれば、マン・パワーをもっと生産的な業務の方に回せるのではないかと。登別市では以前からICTを積極的に取り入れており、文書や伝票などのペーパー・レス化を推進しているだけでなく、少し前には庁内の内線電話もすべてスマホ化しました。今回の文字起こしの自動化も、そういったICTへの取り組みの一環になります。
 

——— 文字起こし作業には、どれくらいの職員の方が携わっているのですか。
 

菊地 調査したところ、定例的に文字起こしを行っているのは16グループあり、仮に各グループ2人は文字起こし作業をやっているとすると、単純計算で30人以上は携わっていると思います。おそらく担当しているのは基本的には若い職員で、会議や市議会だけでなく、電話の応対やクレーム対応なども文字として起こさなければなりません。また、職員は電話に出たり、別の仕事もありますから、文字起こし作業だけをやっていればいいというわけでもないんです。
 

——— これまで、会議や市議会はどのように録音していたのですか?
 

菊地 普通のICレコーダーの内蔵マイクを使って録音していました。参加者が少人数の会議であれば、ICレコーダー内蔵のマイクでもそれほど問題はないんですが、15人くらいの会議になると置く場所が難しいんです。参加者は滑舌が良い方ばかりではありませんし、北海道ですので、冬はボイラーの騒音がうるさくなりますしね。しかも最近は皆さんマスクを着用されていますので、これまで以上に言葉が聴き取りにくくなっていました。言葉が聴き取れないと、何度も聴き返さなければなりませんから、文字起こし作業も余計に時間がかかってしまうんです。
 

——— 文字起こし作業を自動化するにあたって、どのあたりから検討を始めたのですか。
 

菊地 実際に動き始めたのは昨年(注:2020年)の4月くらいですが、まずは文字起こしのソフトウェアの検証から始めました。文字起こしの自動化に対するニーズは高まっているので、ベンチャー企業を中心に、かなりの数のソフトウェアが世に出ているんです。でも実際に調べてみると、ソフトウェアによって文字起こしの機能は違うんですが、その根っことなる音声認識のエンジンはそれほど多くはない。無料のGoogleドキュメントでも、かなり精度の高い文字起こしができることが分かりましたので、まずはソフトウェアではなく、ハードウェアを固めようと考えたんです。ソフトウェアはこれからも進化していくでしょうし、性能の良いマイクを導入して、録音の品質を上げた方がいいのではないかと。実はソフトウェアの検証を始めたときに、安価なピン・マイクで試してみたんです。しかし、会議の参加者全員にピン・マイクを取り付けて、それをミキシングするというのは現実的ではありません。それなりの投資ではあっても、やはり卓上に置けるワイヤレス・マイクを導入するのがベストだろうと思ったんです。
 

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● 文字起こしの自動化を見据えて、Microflex Wirelessを導入

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——— 数あるワイヤレス・システムの中から、Microflex Wirelessを選定された理由をおしえてください。
 

菊地 どのようなものがあるのだろうとインターネットで検索したところ、Shureさんのマイクのことが掲載されていたんです。それで興味を持ち、カタログをチェックしたんですが、小さな会議室から大きな会議室までいろいろなケースが紹介されていて、それが凄くイメージしやすかった。それまでShureさんについては、個人的にはイヤホンのメーカーというイメージしかなかったんですが、こんなにたくさんのマイクを作っている会社ということをそこで初めて知りました。早速Shureさんに連絡し、ソニーマーケティングさんをご紹介いただいて、実際にデモをしてもらったんです。

小笠原 弊社がこれまで手がけてきた案件でも、Shureさんの製品は大学の会議用AVシステムや視聴覚システムで納入実績があり、大変音が良いと評判でした。また、Shureさんは何事も対応が迅速なので、お客様からの質問にもすぐに答えることができる。今回、デモ機もすぐに用意していただいたので、弊社でテストしてからここに持ち込むことができました。

菊地 他の協力事業社には別メーカーの赤外線方式のマイクもデモしていただいたんですが、受光ユニットの前を人が通っただけで音が途切れてしまったんです。また赤外線方式のマイクは、ドームのような受光ユニットを部屋に取り付けなければならず、その時点で対象外という感じでした。
 

——— 常設ではなく仮設で運用しようと考えたのはなぜですか?
 

菊地 市役所の2階には、委員会室と議場の他に小さな会議室が2部屋あり、また3階にも会議室がありますから、一つの部屋だけで使うのはもったいないと思ったんです。せっかく導入するのであれば、台車で運べるようにして、複数の部屋でフレキシブルに使えるようにしたいなと。Shureさんに、“このシステムは壁に埋め込まなくても大丈夫ですか?”と訊いて、“大丈夫です”と言っていただいたときは嬉しかったですね(笑)。現在、市役所を建て替えるという話も持ち上がっていますので、このシステムであれば新しい市役所でもそのまま使用することができます。
 

——— デスクトップ型の送信機には、38cmと通常よりも長いグースネック・マイクが取り付けられています。


菊地 拡声用途ではありませんから、ついマイクで収音されていることを忘れがちです。このため、喋る人にマイクで収音していることを意識してもらうためにも、長めのグースネック・マイクにしていただきました。送信機は机の角に設置していて、人によってはマイクがおでこに向いてしまったりすることもあるんですが(笑)、声をよく拾ってくれるので音質的にはまったく問題ありません。今回、マイクは15チャンネル分導入したのですが、ほとんどの会議の参加者は10人強なので、これくらいあれば十分だろうという判断です。


——— 普段の会議や市議会では、どのようなシステムで運用されているのですか。
 

菊地 送信機の出力はすべてオーディオ・プロセッサーのP300-IMXでまとめて、USBはLightning変換してApple iPadに、アナログ出力はICレコーダーに接続しています。そしてiPadでリアルタイムに文字起こしを行い、同時にICレコーダーにも録音している形ですね。市議会の場合はインターネット中継も行いますので、音声はそちらにも送っています。

小笠原 P300-IMXでは、ノイズ・フィルターを使って不要なノイズを除去するという処理も行なっています。
 

——— 実際の使用感はいかがですか。
 

菊地 3月末に工事が完了し、既に議会で10回くらい、凄いペースで使っていますが、大変満足しています。これまで使用していたICレコーダー内蔵のマイクと比べると、まったく音質が違いますね。言葉が聴き取りやすいので、これまで以上に高い精度で文字起こしが行えるようになりました。今後、文字起こしをある程度自動化することができれば、切り貼りと修正を加えるだけで議事録を作成できるようになります。けっこうな投資ではあったのですが、費用対効果を考えれば、2〜3年で損益分岐するのではないかと思っています。
 

——— 会議ごとのセッティングも問題ありませんか?
 

菊地 まったく問題ありません。送信機を設置してコンセントを挿し、電源を入れればすべて自動で繋がる。操作性も凄く簡単です。それにしても今回、配線がとてもシンプルで、音声信号をイーサネットケーブルで送ることができるDanteという規格にはとても驚きました。一昔前までだったらケーブルの嵐だったでしょうからね。せっかくネットワークに対応しているわけですから、所内のネットワークに組み入れることで、何かおもしろいことができないかと思っています。
 

——— 最後に、これから計画していることがあればおしえてください。


菊地 これだけのものを導入したわけですから、職員がもっといろいろなことに活用できるようにしていきたいと思っています。設置も簡単ですから、職員の使い方マニュアルのようなものを用意して……。今は文字起こしと議会配信用ですが、将来的にはWeb会議などでも使用していきたいですね。それと先日、研修で使用する機会があったのですが、そのときの先生が喋りながら室内を歩く方だったので(笑)、ピン・マイクを1つ導入すればよかったなと思っています。現在、電波の空きが1チャンネルありますので、今後の様子や使われ方を見ながら、もしニーズが多ければ検討したいですね。

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※撮影時のみマスクを外しています。

 

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導入製品

製品名 説明
MXW8 MXW8 15 Microflex Wireless マイクロホンシステム対応のグースネックベース型送信機。5インチ(12.7cm)、10インチ(25.4cm)、15インチ(38.1 cm) のMicroflexグースネックマイクロホンに対応
MXWAPT8 MXWAPT8 2 Microflex Wireless マイクロホンシステム対応の、壁/天井にすっきりとマウントできる8チャンネルワイヤレスアクセスポイントです。
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