オーディオ・ビジュアル系ライター 高橋 敦氏 リモート+マイクLightningケーブルレビュー (RMCE-LTG)
iPhoneの身軽さ使いやすさはそのままに「あともうちょっとよい音」を実現できるアイテム - リモート+マイクLightningケーブル RMCE-LTGレビュー
■iPhoneのLightning端子に接続できるリケーブル登場
SHUREからリモート+マイクLightningアクセサリーケーブル、つまりiPhoneのLightning端子に接続できてリモコン&マイク搭載な同社製品用リケーブルが登場する。
こういったアイテムはご存知の通り、iPhone 7世代でイヤホン端子が廃止されたことへの対応策として必要になったもの。ワイヤードならこの製品のようにLightning、ワイヤレスならBluetoothでということになるが、Shureはまずは前者を選択したわけだ。
そのような事情なので最初の動機としては、メーカーとしてはイヤホン端子がなくなったので用意せざるを得ないし、ユーザーとしても使わざるを得ないという、消極的なことかもしれない。しかしもしもそれが結果としてサウンドクオリティの向上にもつながるとなったら?ならば積極的に導入する意義も出てくる。
つまりこのケーブルを使った場合のサウンドクオリティが
- iPhoneのイヤホン端子
- Apple純正Lightning - 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタ
のどちらよりも良好であれば、イヤホン端子廃止への消極的な対応としてだけでなく、その機に乗じての音質向上アイテムとしての積極的な利用ということも考えられるわけだ。 というわけで試してみた。
■サウンドチェック
まずはSE846と付属ケーブルをiPhone SEのイヤホン端子に直結して試聴。イヤホン端子搭載時代のiPhoneでの標準的再生環境での聴き慣れたサウンド。これを基準に以降での変化を聴き比べていく。
次にLightning端子からApple純正アダプタでイヤホン出力に変換して接続した環境での試聴。 激変まではしない。しかしボーカルの息の成分のシャープさ、アコースティックギターのストロークの歯切れ、エレクトリックギターのカッティングの歪のエッジ感といった要素が少し強まり、全体としてはくっきり感を強める感じだ。聴き取りやすいが聴き疲れもしやすいような……一長一短といったところか。
そして今回の主役、RMCE-LTG。
音の方向性としては純正アダプタにも似ていて、イヤホン端子よりも明るくクリアだ。しかしそれでいてその明るさやシャープさに無理がなく、よりナチュラル。聴き取りやすいし聴き疲れもしにくそうだ。またベースの制動も向上し、音の不要な膨らみは抑えられ、スタッカートも素直にぴたっと収まるといったところも好感触。 特に「聴き取りやすくて聴き疲れもしにくい」というのはイヤーモニターとして開発されている同社イヤホンの本質にマッチしたもので、イヤホン自体との整合性、メーカーとしての一貫性を感じさせる。このケーブルはもちろん同社製品との相性を第一に設計されているだろうから、そうなるのは考えてみれば当然だ。
ということで、現在はイヤホン端子搭載のiPhoneをお使いで今後に備えてこれに注目という方、あるいは現在iPhone 7と純正アダプタをお使いの方には、サウンドクオリティの向上という積極的な理由からもこのケーブルをおすすめできる。 別途にハイレゾプレイヤーやポータブルアンプを持ち歩くほど大掛かりにではなくiPhoneの身軽さ使いやすさはそのままに、「あともうちょっとよい音」を実現できるアイテムだ。