Case Study

【大学】立命館大学様|収容人数200人超、38ブースの新しいグループワークを高度な音響技術で実現|MXA310、P300

立命館大学様が「Learning Infinity Hall」にてShureのMXA310、P300を導入。グループワークにてオンラインの参加者、ホール内のすべての参加者に、クリアな音声提供を実現。
January 17, 2025 |
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“Shureの音声処理技術は非常に高度で、マイクが拾った不要な音を除去し、クリアな声を届けることが可能です。柔軟性が高く、アイデアを実現し、新しい学びを提案できる音響設備となりました”

立命館大学 情報システム部 情報基盤課 課長補佐 倉科健吾氏

お客様プロフィール

◎導入事業者
学校法人立命館
事業内容:教育機関
https://www.ritsumei.ac.jp/

◎導入場所
導入場所: 立命館大学 大阪いばらきキャンパス

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課題

立命館大学の大阪いばらきキャンパスでは、2024年にリアルとバーチャルとを融合した新しい学びを提案するホール「Learning Infinity Hall」を創りました。オンラインを含めた大規模なグループワークを実現するため、最大228人を収容する、38のブースにはカメラやディスプレイ、マイク、スピーカーなどが設置されています。しかし、ブース同士の距離が近いために発生する音響的課題や、ノイズやエコーの課題を解決し、クリアな音声をリモート先に届ける音響設備が不可欠でした。

ソリューション

各ブースに、Shureのテーブルアレイマイクロホン「MXA310」を設置し、オーディオプロセッサー「P300」で高度な音声処理を行って、当該ブースの声のみを届けられる仕組みを構築。Web会議ツールのブレイクアウトルーム機能を活用して柔軟に組分けし、オンラインを含めた多様なグループワークを行えるようになりました。また広いホールのため、MXA310による自室内拡声「VoiceLift」を活用し、部屋全体へ肉声に近い音を届けられる環境を整えました。

効果

オンラインの参加者にも、ホール内のすべての参加者にも、他席の音に影響されることなくクリアな音声を届けられています。ハンドマイクを回したり声を張り上げたりする必要がなく、発表や議論が活発化しています。オンラインコミュニケーションも快適で、システムの柔軟性が高いため、新しい授業のアイデアにチャレンジできると教員にも好評です。クリアな音声をAI技術によって処理し、グループワークをテキスト化したり内容を評価したりと、新しい活用方法も検討されています。

【スペシャルインタビュー】

新しい学びを実現するLearning Infinity Hall

立命館大学は、1869年に西園寺公望が創始した私塾立命館を起源とし、1900年に中川小十郎が「私立京都法政学校」として創立、1913年に現在の「私立立命館大学」へと改称しました。多様な学問領域を持つ16の学部と21の研究科を擁し、学生に幅広い学びの機会を提供する総合大学です。

同学では社会のニーズをとらえた学園づくりのために2030年を見通した学園ビジョンR2030を策定しています。そこでは、目まぐるしく変化する社会に対応すべく、社会が抱える様々な課題と向き合い、前例や固定観念にとらわれず、高度な研究力と探究力により、あるべき未来社会の実現に貢献する「次世代研究大学」「次世代探究学園」へと進化していくことを目標としています。

その一環として、都市型社会共創キャンパスとして2015年に設置した大阪いばらきキャンパスをさらに進化させるべく、大学と社会とをつなぐ共創プラットフォーム「TRY FIELD」の拠点として、2024年に新棟をオープン。他キャンパスから情報理工学部と映像学部が移転し最先端の研究教育環境として、学生・教職員・企業・自治体・地域住民などが集い、挑戦と失敗を繰り返しながら未来を創造する場がスタートしました。

先端的な研究に企業や市民も参加できる「SP LAB」や、XR研究を中心とする最先端のIT技術研究に触れることができる「SP LAB X」などが設置され、リアルとバーチャルが融合した学びの環境が整えられました。

「このコンセプトは、新棟内の講義室などにも反映されており、アクティブラーニングや学生同士の議論を重視する作りが多く見られます。最も特徴的な『Learning Infinity Hall』は、リアルとバーチャルの融合、学びとコミュニティの拡張を具現化した講義室と言えます。先端技術によって従来のグループワークを発展させ、社会と学びがつながるための機能が設けられました」と、立命館大学 情報システム部 情報基盤課 課長補佐の倉科健吾氏は説明します。

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Learning Infinity Hallには、6人掛けのブースが38個設置されており、タッチパネルモニター、カメラ、マイク、スピーカー、PC接続用のUSBインターフェースが用意され、Web会議ツールと連携しています。教員は、講義やグループ発表の資料などを自在に共有し、手元のモニターで各ブースの活動を把握して個別の指導も可能です。38のブースはオンラインの参加者/グループを含めることも可能です。例えば、あるグループに行政機関の担当者、違うグループには市民をWebで招いて、同時にヒアリングするといったこともできるのです。

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「Learning Infinity Hallを作るにあたり、苦労したことの1つが音響です。ブース同士の距離が近いため、隣の声が自席のマイクに入ってしまうことを避けられません。38のブースを自在にグループ分けし、自席の声のみをオンライン参加者にもクリアに伝えられる仕組み ― MXA310の高い収音能力に加えて、P300による高度なオーディオプロセッシング能力、今回の場合は特にエコーキャンセル能力が重要だと考えていました。」(倉科氏)

隣接ブースの声もキレイに除去するオーディオプロセッシング

もともと立命館大学では、大阪いばらきキャンパスのセミナールーム「コロキウム」にシーリングアレイマイクロホン「MXA910」を2017年に導入し「VoiceLift」の先駆けのようなハンズフリーでの拡声の環境を構築しました。ほかにも、アレイマイクロホン「MXA920」や「MXA310」、プロセッサー「P300」、オーディオインタフェース「MOTIV MVi」をオンライン授業向けに教室で多く導入しており、Shureの音響技術の高さ・有効性を十分に理解していました。また、事前に小規模な環境でグループワーク向け設備の検証・研究を行っており、その結果からLearning Infinity Hallの特徴的な音響設備を構築できるソリューションとして、Shureのテーブルアレイマイクロホン「MXA310」およびP300を選定しました。

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「以前からShureの協力を得て音響改善の協議・検討を重ねており、MXA310とP300の組み合わせであれば、Learning Infinity Hallの厳しい設計にも耐えうると確信していました。P300は“音声の作り方”が非常に優れており、“不要な音”をしっかり排除できます。MXA310は不慣れな利用者でもわかりやすく使いやすいのが特徴ですし、収音性能が高いため学生が発言のたびにハンドマイクを回す必要もありません」(倉科氏)

広いLearning Infinity Hallでは、教室の端で発表した肉声は一方の端まで十分に届きません。そこで、Web会議用に設けたバウンダリーマイクで収音した音声を室内全体へ自然な肉声のように届けることのできる「VoiceLift」技術も活用しています。この技術を活用したことにより、グループワークの発表会などがさらに快適になりました。

柔軟性・拡張性に富んだ音響設備で進化を続ける教室

立命館大学では、Learning Infinity Hallの音響設備としてMXA310/P300を採用し、カメラやディスプレイ、Web会議ツールなどと高度に連携した教室を作り上げました。

Shureのソリューションは、デジタルオーディオネットワークシステムとしてDanteに対応しているため他社製品との行動な連携、細かな制御に対応するほか、PoE(Power of Ethernet)によってEthernetケーブル1本で電源・音声信号・制御信号のすべてをまかなうことが可能です。38ブースもの音響を設置するには、このようなシンプルな構成であるところも利点となりました。

倉科氏によれば、多くの教員がこれまでの教室では実現できなかったことができるようになったと高く評価しており、新しいアイデアを実践しようと試みる授業も増えつつあります。それらを受講する学生も、楽しみながら取り組んでいるとのことです。

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VoiceLiftについても、声を張り上げる必要もなく、マイクを意識する必要もなく、自然体で発表したり議論したりできると好評です。逆にWeb会議のように自然に話せてしまうため、緊張感を保つため必要に応じて壇上で発表するなどメリハリを付けている授業もあるそうです。

「Shureのソリューションは非常に柔軟性が高く、デジタルオーディオネットワークシステムDanteを通じてアナログ音響では難しい細かな制御を実現することができます。したがって新しい授業のアイデアを反映しやすく、目標の1つである“学びを変えられる教室”の中核を担っていると感じます。利用者からの要望に応えて操作インターフェースを修正したり、新しいグルーピング方法を追加したりと、音響や映像、マネジメントツールなどのバージョンアップをアジャイルに繰り返しており、Learning Infinity Hallは“完成”することなく進化を続けています」(倉科氏)

倉科氏は今後、MXA310で収音した高品質な音声を活用し、生成AI技術を応用してグループワークの内容をテキスト化したり、評価したりする新機能の開発を目指したいと述べています。またLearning Infinity Hallのような大きな教室だけでなく、小さな教室で高度なグループワークを実践したいという要望も強いとのことで、小規模スペース向けのShure製品に注目しています。

最後に倉科氏は、「Shureは、Learning Infinity Hallの構想から構築、導入後のストレステストや細かなチューニングまで親身なサポートを提供してくれました。導入が容易な製品も魅力的ですが、今回のように高度な仕組みで“おもしろいこと”を実現できる製品や技術の開発にも、ぜひ継続的に取り組んでいただきたいと思っています」と述べ、立命館大学の進化を担うパートナーとしてのShureに期待を寄せています。

mxa310-ritsumeikan_6立命館大学 情報システム部 情報基盤課 課長補佐 倉科健吾氏

導入製品

MXA310 × 38台
P300 × 38台

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