Case Study

【大学】東京外国語大学様|本格的なハイフレックス授業の実現へ、音響設備を意識することなく100%授業に集中|MXA920

東京外国語大学様が、主流のハイフレックス授業設備としてMXA920を導入。音声品質は申し分なく、話者がふつうの声で話すだけでしっかり収音される、との評価をいただきました。
February 25, 2025 | 17 読むのに要する時間
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“東京外国語大学には、世界とつながらなければならないという使命があり、だからこそハイフレックス授業に注力しているのです。Shureの音響技術は、私たちの取り組みを支える重要な要素なのです”

東京外国語大学 理事 青山 亨氏

お客様プロフィール

◎導入事業者
国立大学法人 東京外国語大学
事業内容:教育機関
https://www.tufs.ac.jp/

◎納入事業者
電子システム株式会社
https://www.densys.jp/

◎導入場所
導入場所: 東京外国語大学 講義室(11室)

課題

東京外国語大学様では、コロナ禍を経てオンライン授業の利点を再確認し、オンラインからも対面授業へ参加できるハイフレックス授業への本格的な取り組みを開始しました。コロナ禍で急遽導入したシステムに教員が苦労した経験から、より高品質で使いやすく、システムを意識せずに授業に集中できるような仕組みが必要とされました。当初独自に構築した小型のモバイル型ハイフレックスシステムが好評であったため、より大規模な教室をカバーできる高品質な設置型システムの構築に踏み切りました。

ソリューション

東京外国語大学様は、授業の進行を妨げない・システムを意識させないことを重視し、シーリングアレイマイクに注目されていました。ほとんど準備いらずで、音声環境を気にすることなくいつもどおりに授業を行えば、オンラインからでも自然に参加できるような仕組みが理想でした。またカメラトラッキングも重視し、カメラ機器と強力に連携できるソリューションを必要としていました。このようなご要望を踏まえた入札の結果、Shureのシーリングアレイマイク「MXA920」が採択されました。

効果

電子システム株式会社様の全面的な支援を受け、ほとんど準備いらず、誰でも使いやすく、片づけるのも容易なシステムが11教室に導入されました。カスタマイズ性に富んだ設計のため、さらなる改良に努める計画です。MXA920の音声品質は申し分なく、話者がふつうの声で話すだけでしっかり収音されると好評です。すでに主流のハイフレックス授業設備として日常的に利用されており、イベントなどでも活躍しています。

【スペシャルインタビュー】

コロナ禍を経て、ハイフレックス授業の本格的な取り組みへ

東京外国語大学は、1873年に建学された官立東京外国語学校を前身とする総合大学であり、言語文化学部・国際社会学部・国際日本学部と大学院の総合国際学研究科の3学部1研究科から構成される人文社会科学系国立大学です。外国の言語とそれらを基底とする文化一般を研究・教授し、グローバルに人と社会を結ぶ人材の養成に努めてきました。

世界15地域28言語を学ぶ教育体制を整え、世界73の国・地域に所属する244の学術機関と学術交流協定を結んでいます。このグローバルネットワークを生かした独特の教育・研究体制が、同学の特長の1つです。

「言語はあくまでも手段として、言語を通じて海外の文化や人々への理解を深めていくことを重視しています。日本語も世界の諸言語の1つとして位置づけ、多様な学生が多様な言語を学べる体制を整えています。例えば大学院では、海外の大学と学生が相互に往来しながら双方の学位を取得できるダブル・ディグリープログラムを展開しており、留学生の派遣や受け入れも多く、学生が世界に飛び出していく大学と言えます」と、東京外国語大学理事を努める青山 亨氏は述べています。

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東京外国語大学 理事 青山 亨氏

2020年にコロナ禍が本格化しはじめると、渡日の制限が留学生に大きな影響を及ぼすと東京外国語大学は考えました。そこで同校は、いち早くオンライン授業の環境整備を決定し、Web会議ツールなどの導入と教員研修に踏み切りました。その甲斐あって2020年の春学期は、2週間の遅れのみで全面オンライン授業として開始することができました。

「コロナ禍が収束した現在、私たちは改めてオンライン授業の本質的な意義について検討し、だれでもどこでもつながり、積極的に議論できる“遠隔授業”という原点に立ち返ろうと取り組んでいます。オンラインの利点を生かした、大学がもっと世界とつながる・一人一人の学生がもっと前に出る場としての教室デザインを推進しています」(青山氏)

本格的なオンライン/ハイフレックス授業を実現できる教室の構築を推進するにあたり、いくつか技術的な問題が残されていました。コロナ禍を乗り切った先生たちも、当初にオンライン授業の品質や機器などの運用でひどく苦労したことが苦い経験として記憶にあったのです。

「状況が落ち着くと、先生方もオンラインのメリットは大きかったと感じはじめるようになりました。ある学会でオンライン参加を受け付けると、予想以上にさまざまな地域の方々に活用されたのです。これは非常に大きな利点だと考えてくださるようになりました」と、東京外国語大学 世界言語社会教育センター 助手の川澄 領氏は振り返ります。

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東京外国語大学 世界言語社会教育センター 助手 川澄 領氏

ただ、川澄氏は、当時に急遽用意したカメラやスピーカーホンの妥協した品質で、先生たちを苦労させるわけにはいかないと考えていました。特に音声品質を向上しなければハイフレックス授業が浸透することはないだろう、オンラインを利用できる教室をもっと増やすべきだと考えたのです。

だれでも自然に利用できる遠隔授業システム、天井設置型マイクに注目

まず川澄氏は、音響や映像の機材を搭載したカート型の「テレプレゼンスモバイルシステム(TMS)」を用意しました。これを任意の教室に持っていけば、ハイフレックス授業を実現できるというわけです。TMSは非常に好評で、2023年には170回以上も活用されました。

2024年、同氏はTMSの成功で満足せず、「大学間同時双方向型遠隔授業システム」の構築に乗り出しました。より高品質な機材を用い、ほとんど準備いらずで、ハイフレックス授業を開始できる設備の実現を目指したのです。小型のTMSではカバーしにくい、100名以上収容の中~大講義室を対象としました。

「このシステムの中核はマイクでした。一般的なハンドマイクは受け渡しが必要で、口元の音のみ拾うため、“音のミス”を誘発する可能性があります。そこで注目したのがシーリングアレイマイクの併用でした。天井に設置されていればマイクを意識することなく、ふだんどおりの授業を行うだけで、オンラインから自然と授業に参加できるのです。先生方には、コロナ禍のように音質を心配することなく、授業に100%集中してほしいと考えたのです」(川澄氏)

また同氏は、ハイフレックス授業では話者の映像と音声をリンクすることが重要と考え、カメラトラッキングの実現も条件として挙げていました。すみやかに話者の位置を特定し、カメラ側の制御システムと連携して撮影できる技術が求められたのです。

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シーリングマイクMXA920とカメラ(AVer)

こうした高度なご要望を反映した入札仕様をクリアして最終的に採択されたのが、Shureのシーリングアレイマイク「MXA920」およびオーディオプロセッサー「P300」でした。ソリューションの提案と導入を支援した電子システム株式会社 首都圏支社 営業部 営業1グループの志村 祐輔氏は、「Shureのソリューションは他大学での成功事例が豊富で、小規模から大規模な教室まで幅広くカバーでき、音声も最高品質です。話者の位置を正確に把握できるため、カメラトラッキング技術との相性がよいというのも注目のポイントですね」と述べています。

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電子システム株式会社首都圏支社 営業部 営業1グループ 志村 祐輔氏

また川澄氏は、さまざまなソリューションをリサーチする中で訪れたShureのショールームが印象的だったと振り返ります。ShureとAVerとが連携してデモを用意し、教室のようなレイアウトで実際のカメラトラッキングを試すことができました。これによって一抹の不安は解消され、「自分のやりたいことは技術的に実現できる」と確信できたとのことです。

日常的に使いやすく、オンラインから自然に受講できる新システム

東京外国語大学では、中規模から大規模の11教室にMXA920を合計28台、P300を39台導入しました。P300の一部は、カメラトラッキングの制御に利用されています。システム構築は電子システムが全面的に協力し、利用しやすく・片づけやすいようにケーブルのワイヤレス化や制御用タブレットのUIなどを工夫しました。

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新システムは、TMSの機能を引き継いで、授業やイベントなどで日常的に利用されています。海外在住の卒業生をオンラインゲストとして招いたり、個人の事情で通学が困難な学生がオンラインで授業を受けたりするケースが多いとのことです。

「音声品質は申し分ないですね。準備も容易で、通常の授業と同じように開始できます。カメラトラッキングは、今後も調整が必要だと感じていますが、おおむね想定の範囲内です。Shureの技術は非常にインテリジェントで、収音性能だけでない総合的なソリューションとして高く評価しています。電子システムさんがカスタマイズしやすいように構成してくれたため、よりよく改良していきたいと考えています」(川澄氏)

川澄氏は、新しいシステムが導入された11教室が音響技術の発展において生きた最高の検証環境になると考えており、教育機関が持つ独特なニーズと難しさをShureが吸収し、製品へ反映してほしいと願っています。

「東京外国語大学には、世界とつながらなければならないという使命があります。だからこそ人文社会科学系であっても新しい技術に注目して、理想的なハイフレックス授業を実現する遠隔コミュニケーション技術の獲得に積極的なのです。直接的な行き来が難しい国・地域であっても、オンラインであれば交流することが可能です。Shureのマイクは、この取り組みを支える重要なパーツの1つです。いっそうの技術の開発と進化を期待しています」(青山氏)

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左から、世界言語社会教育センター 助手 川澄 領氏、国立大学法人東京外国語大学 理事 青山 亨氏、電子システム株式会社 首都圏支社 営業部 営業1グループ 志村 祐輔氏

導入製品

MXA920×28
P300×39

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