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NO VOICE LEFT BEHIND / 消えゆく言語をどう継承していくか

今世紀末までに何千のも言語が消滅しようとしているなか、現存言語研究所(Living Tongues Institute of Endangered Languages)の研究員たちは、世界でも特に消滅の危機にさらされている言語を文書化することに尽力しています。
March 04, 2024 |
インド人女性たちの笑う姿

活気あるインドの村で、人々が言葉を交わしながら日々の生活を送っているのを目にすると、その言葉が消滅の危機にさらされているとはにわかには信じられません。

しかし、現存言語研究所(Living Tongues Institute for Endangered Languages)の上級音声学研究員であるLuke Horo博士は、世界最大の国の多くの言語が、今後数十年のうちに急激な衰退に直面するか、完全に消滅する可能性があることを痛感しています。

そのため、Horo博士は同僚たちと一緒に、東インド、ネパール、バングラデシュに分布するムンダ語族の記録・文書化を進めながら、これらのオーストロアジア語族が置かれた不安定な状況への関心を促すべく努めています。最も重要と思われるのは、言語学者が地元のネイティブスピーカーたちのために、自分たちの文化遺産を強化するためのツールを提供していることです。

「コミュニティが自分たちの言語を保存し、次の世代にも引き継げるように、高音質な音声のサンプルをアーカイブしています」とHoro博士は言います。

現存言語研究所では、世界に7,000ある言語のうち約半数が2100年までに消滅する恐れがあると推定しています。消滅の危機にさらされている言語のコミュニティの中には、流暢に話せる人口が減少しているところもあれば、優勢な国の慣用句への同化に直面しているものもあります。

現存言語研究所は2005年にGregory D.S. Anderson博士によって創設された非営利団体で、世界各地のチームが、特に消滅の危機にさらされている言語の保護に取り組んでいます。このグループは、主に寄付と助成金という形で資金提供を受け、学術的な言語研究と社会活動を組み合わせた2面的なアプローチで任務に当たっています。

Anderson博士はこの2面的な価値観を具体化するため、複雑な言語的概念を説明するだけでなく、消滅の危機にさらされている多くの言語社会に対する社会経済的要因の深い影響についても並行して議論しています。

不当な選択肢

「消滅の危機にさらされている社会共通することのひとつとして、自分たちのアイデンティティを捨てて社会的・経済的に成功するか、あるいはアイデンティティを維持して足手まといになるか、という不公平な選択を迫られていると感じていることです」と、Anderson博士は言います。

公的な承認や支援は重要ですが、消滅の危機に瀕している言語を保護するためには、残念ながら政府だけを頼りにすることはできません、とAnderson博士は言います。

太平洋岸北西部に拠点を置き、立ち並ぶクリスマスツリー農園の奥にひっそりと佇み、モミの木がそびえ立つ並木道を進んだ先にあるこの研究所で、人当たりの良いAnderson博士はまず、彼の番犬のピットブルが散歩に出ていることあえて伝えてくれたのち、草の根の取り組みが現存言語研究所の任務にとっていかに重要かを話しました。

「これらの国には、すべて適切に対処するだけの十分な資金がなく、このような取り組みを行うよう訓練された外部の言語学者の数も十分ではありません」とAnderson博士は言います。「つまり、この取り組みへの知識をコミュニティ自身に共有し、それらを管理するためのツールを無償で提供することが、唯一実行可能で柔軟なソリューションだったのです。」

Living Dictionaries(辞書)の開発

主要ツールの1つは、Anderson博士と同僚が数年にわたって開発と改良を重ねてきたLiving Dictionaries(辞書)オンラインプラットフォームです。これは、カリフォルニア州サンディエゴ近郊で今でも話されているネイティブ・アメリカンの「’lipay Aa語」や、Horo博士が働いているインドの村で話されている「サンタル語」など、現在400を超える絶滅の危機にある言語のための、無料の、モバイル対応のマルチメディア辞書構築ツールです。

現在、プラットフォームには209,000の項目が登録されていて、2023年だけでそのうちの59,000項目が追加されました。いわゆる「市民言語学者」と呼ばれる数百人もの言語コミュニティのメンバーがこのプラットフォームの急速な成長に貢献していて、辞書項目の高品質な発話例を記録する手助けをしています。

「音声は私たちにとって極めて重要で、Shure製品をとても気に入っています」Anderson博士はそう言い、現存言語研究所が音声学の作業に使用しているマイクロホンの重要性を挙げています。「非常に信頼性が高く、これまでのところ何も問題は発生していません」

MoveMicを試用

インドで実施された最近の調査では、研究員がShureの新しいMoveMicクリップオン・ワイヤレスマイクロホンを試すこともできました。コンパクトでありながら強力なワイヤレスシステムを使用することで、現存言語研究所の研究員は音声をスマートフォンに直接収音することができます。

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「言語の分析について言うと、良質な、高品質の音声サンプルを録音・記録することが非常に重要です。 MoveMicクリップオン・ワイヤレスマイクロホンは、私たちのニーズに完璧に対応します。コンパクトで目立たず使いやすいので、話す人は自然に、気が逸れることなく声を発することができます」とHoro博士は言います。

Horo博士の同僚たちも、プロ品質の音声を簡単に取り込める小型のクリップオンマイクロホンという組み合わせが、現場の研究者にとって理想的なワイヤレスシステムとなっていることに同意しています。

「MoveMicは自然に発せられる会話や発話を録音するのに非常に適しています」。Anderson博士はそう言ってから、チームが最近インドでこのマイクを使用してムンダ語族の1つであるサンタル語の複雑さをどのように調査したか詳しく語りました。

「私たちは音声パターンの構造をマップ化しようとしています。文法で生成されるものと、音声システムにより単語として示されるものとの間に食い違いが生じることが時々あるのです。」

多言語使用の支援

Shureでは、MoveMicをはじめとするオーディオ機器と金銭的な寄付の両面で、現存言語研究所のミッションを支援しています。こちらから、個人的に寄付することも可能です。消滅の危機にさらされている言語の保護のために他に何ができるかと尋ねられると、Anderson博士は一息ついてから、多言語使用を支援することが、社会から疎外されている言語を広く文化的に受容するために重要である、と答えました。

「かつては、多言語を話すことが一般的な状況でした」と続け、「自分たちの言葉の遺産を誇れるようにすることで、社会に直接利益がもたらされることが証明されている。」と指摘します。

インドで若い女性が自分の文化について「人々がサンタル語で勉強できるようになれば、すばらしいことです。これが私たちの母語だからです」と堂々と話すのを聞けば、言語が消滅するとうことが、いかに多くのものが失われるかが明らかになるでしょう。

現存言語研究所(Living Tongues Institute of Endangered Languages)についての詳細は、こちらをクリックしてご確認ください。

MoveMicについての詳細は、こちらをクリックしてご覧ください。

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Marc Young
ジャーナリズムの分野で経験を重ねたマークはShureの編集者としてサウンドに関するあらゆる話題を紹介しています。ギターの腕前はそこそこだけれど、それを文才で補っていると言う彼は、ヨーロッパでも随一の音楽の都として知られるベルリンを拠点に活動しています。

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