ガジェットライター 武者 良太氏 イヤホンレビュー (SE535 Special Edition)
ジャンルを問わず様々なトラックの魅力を引き出せるパフォーマンスを実現 - SE535 Special Edition レビュー
チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」。その第3楽章。雄々しいムードが立ち上がっていく行進曲をリズミカルに彩り、機関銃を思わせるティンパニのロールと、ステージを切り裂くシンバルが迫りくる躍動感を印象づける。これは、気持ちがいい…。SE535 Special Editionは情景を太くも、鋭くも描ききることができる名イヤホンですね。
まずはクラシックの名盤からチェックしましたが、ジャズも、ロックも、ポップスともマッチする。音源が持つチカラを真正面からぶつけてくる。ガツンと、くる。タイトな低域は筋肉質ゆえの弾力性に優れており、広いホールで録った音源のふくよかさもきれいに描きますし、スタジオで録ったシャープなアタックもリアルに写しだす。そして注目すべきは中高域ゾーン。ささやくようなボーカルも思いのたけをぶつけてくるシャウトも、色がシャッキリと鮮やか。ギターの16分音符が踊りまくるハイスピードなリフも1音1音をしっかりと分けて鳴らしてくれます。音楽を構成するすべての情報をときには艶やかなグラデーションをいれつつパンフォーカスにまとめていく。その結果、ジャンルを問わず様々なトラックの魅力を引き出せるパフォーマンスを実現しています。
ハードウェアとしての作りもさすが、と唸ってしまいますね。耳の形に沿って型をつけられるワイヤーフォームフィット機能付き着脱式ケーブルは本来プロフェッショナルな現場向けのアーキテクチャですが、日常生活で使っても便利すぎです。フィット性は高く常に安定していますし、イヤーピースと相成って遮音性の高さにもつながっています。
オプションも豊富です。RMCE-LTG リモート+マイクLightningアクセサリーケーブルと組み合わせることでiPhone、iPadに直結できる仕様にカスタマイズできますし、RMCE-BT1 BLUETOOTH アクセサリーケーブルを用いればBluetooth仕様にもアップデート。実際にRMCE-BT1 BLUETOOTH アクセサリーケーブルとSE535 Special Editionを組み合わせてみましたが、音質の高さ、良さはワイヤレスでも受け継がれていました。飛行機での移動中も快適で楽しい音響環境が作れますよ。