【自治体】東神楽町様|行政DXのための音質改善、職員の負荷軽減で人材不足に向き合う|Microflex Complete Wireless、Microflex Wireless
はじめに
“Shureの会議システムは音声品質が非常に高く、議事録作成の負荷が大幅に軽減できるようになりました。職員には、このシステムを工夫してさまざまに活用し、DXにつなげてほしいと期待しています”
東神楽町 総務課 法務情報係長 深田佑斗氏
お客様プロフィール
◎導入事業者
北海道上川郡 東神楽町
業種:地方自治体
https://www.town.higashikagura.lg.jp/
◎納入事業者
株式会社札幌トランジスター
http://www.stc-net.co.jp/
◎導入場所
導入場所:東神楽町役場 町議会議場
導入時期:2023年3月
課題
DXを強く推進する東神楽町では、町議会や委員会の議事録作成の作業負担を軽減するため、デジタル技術を活用したいと考えていました。音声認識AIを試したところ、基となる会議の録音品質が悪く、十分な認識精度が得られませんでした。そこで同町は、議会場のマイクシステムの刷新を検討します。ただし単なる更改ではなく、町議会以外でも気軽に活用できるソリューション、DXにつながるシステム改革を目指しました。
ソリューション
ニーズと予算に合わせて、ワイヤレス型の会議システム Microflex Complete Wireless (以下 MXCW)とグースネックベース型送信機 Microflex Wireless (以下 MXW)を混合した構成を選び、会議の参加者に合わせて選択できるようにしました。またShure機器は可動式のラックにまとめて、ほかの建屋や部屋へ自由に持ち運べるようにしました。P300とタブレットを接続し、会議の音声を音声認識アプリでリアルタイムに処理しています。
効果
MXCWは、機械に不慣れな参加者でもボタンを押すだけで発言でき、スピーカーからクリアな音声が聞けるため議論しやすいと好評です。ワイヤレスでバッテリーを装着するだけで準備できるので、準備作業も最小限です。細かな教育やマニュアルなどなくとも、他の職員が必要な機器を持ち運んで利用できます。議事録作成はほとんどを自動化でき、職員は修正作業のみで済むようになりました。DX推進の一環として、さまざまな工夫が期待されています。
【スペシャルインタビュー】
花のまち・東神楽町が推進するDX、先端技術で課題解決を目指す
2023年に130年記念を迎えた東神楽町(北海道上川郡)は、旭川市に隣接し、道北の空の玄関である旭川空港を有する町です。古くから「花のまち」として知られ、1966年ごろから町を挙げての「花いっぱい運動」を推進しています。フラワーフェスタ(6月)やひがしかぐら花まつり(8月)などイベントも盛んで、町のいたるところで色とりどりの花を楽しめます。
自然が豊富でアウトドアスポットも多く、シーズンにはひがしかぐら森林公園キャンプ場やオートキャンプ場フローレなどが多くのキャンパーで賑わいます。空港からとても近いため、温泉やグルメなどを気軽に楽しめるのが特長です。北海道有数の米どころでもあり、稲作のほか農業が盛んで、伝統的な旭川家具の生産も行っています。
多くの地方自治体と同様に、人材不足に悩まされている東神楽町でも新しい行政の在り方を模索しており、限られた予算の中で高い効果を得られる施策に取り組んでいます。町長もデジタルトランスフォーメーション(DX)を強く推進しており、文書管理や勤怠管理のデジタル化、モバイルデバイスの活用など、先進技術の活用に積極的です。
「東神楽町のような1万人ほどの中小規模自治体は、みな同じような悩みを抱えています。デジタル活用によって、職員はより生産性の高い業務に集中できるようになり、長期的には人口減・人材源の課題解決につながると考えています。私たちは、地方自治体における“DXのロールモデル”を目指して積極的に取り組んでいく計画です」と、東神楽町 総務課 法務情報係長の深田佑斗氏は述べています。
議事録作成の自動化から、行政DXへつながる音響システムへ
デジタル技術を活用した改革の1つとして、東神楽町では町議会や各種委員会の議事録作成に着目しました。これまでは会議の音声をICレコーダーで録音し、職員が文字起こしするという作業を行っていました。これは非常に負荷の高い業務で、10分ほどの短い会議を要約するだけでも数十分はかかっていましたし、町議会ともなれば議事録作成に長時間かけて行っていました。
近年は音声データをテキストに書き起こすAI技術が広まっており、深田氏らもこれに注目しました。しかし、複数のソフトウェアをテストしてみたところ、あまりよい結果が得られませんでした。音質のよいサンプル音源であれば高精度に認識するようですが、実際の音声データは雑音が多く、声が聞き取りにくかったのです。
なんとか解決できないかとさまざまな情報を集めるうちに、似たような課題を解決した地方自治体の事例を発見しました。その自治体は、会議で使用されるマイクを改善し、高精度なAI文字起こしを実現していたのです。「まさに“我が意を得たり”という思いでした。すぐに視察を申し出て、ワイヤレスマイクとタブレットで高精度に会議を文字化している様子を拝見し、導入を検討しはじめました。それがShureのMicroflex Wirelessリューションだったのです」(深田氏)
深田氏は、Shureソリューションを単なる議会議事録作成ツールとして捉えていたわけではありませんでした。議会だけでなく各種委員会や職員の会議、講演イベントなどにも共用できる音響システムが必要だと考えていました。これまで東神楽町議会向けに導入していたシステムは本会議場に設置するタイプのもので、ほかの部屋や組織で利用することは困難でした。限られた予算でDXを成し遂げるには、用途や場所を限定するのではなく、町役場全体でさまざまに利活用できるものが望ましかったのです。そこで新しい音響システムは、さまざまな場所へ持ち運べるものという条件を設けました。さまざまな製品を比較した結果、Shureが最も高性能で可搬性の高いシステムということがわかりました。
インテグレーターとして東神楽町のシステム導入をサポートした札幌トランジスターは、シュア・ジャパンと連携してデモンストレーションを実施し、用途と予算にマッチしたマルチデバイス構成を提案しました。その結果、ワイヤレス会議システムMXCW640とグースネックベース型送信機MXW8を混合し、オーディオプロセッサーP300を組み合わせた環境の導入が決定されました。
マルチデバイスで予算にもマッチ、誰でも使いやすい会議システム
東神楽町議会では、議員や議長など中心参加者の席にMXCW640を設置しました。バッテリーを装着して席に置くだけで、すばやく会議を準備できるのもメリットです。参加者は機械に不慣れでも本体のボタンを押すだけで話すことができ、他の話者の声もスピーカーが内蔵されているため聞き取りやすいと好評です。質疑に回答する他の参加者の席にはMXW8を設置し、ハンドマイクの受け渡しなどがなくてもスムーズに発言できます。
議事録については、オーディオプロセッサーP300からタブレットデバイスへ音声を出力し、音声認識アプリでダイレクトに文字起こしできるように構成しています。「会議は専門用語が多く、話者の音量やイントネーションもバラバラ、非常に早口で話す方もいるのですが、IntelliMix Roomのノイズキャンセラも強力に機能しており、どなたの声もはっきりと記録されるようになりました。ICレコーダーを議場に置いて録音したデータは半分程度しか認識しなかったのですが、Shureに切り替えたことで少なくとも7~8割は認識できています。高価な専門ツールを使わなくとも、安価なモバイルアプリで議事録のベースを作成できます」(深田氏)
東神楽町では、Shure機器は議場の準備室に設置した可動式ラックへ収めて、ほかの部屋にも自由に持ち運びできるようにしました。教育委員会などで利用するため持ち出ししていますが、総務課が特別な操作設定やセッティングなどをしなくとも、各担当者が問題なく利用できています。
札幌トランジスター システム営業部の河本純希氏は、「Shureの会議向けソリューションは、誰でも扱いやすく、クリアで安定的な音質が特長です。今回の導入も、短い操作マニュアルを作成して簡単な説明会を行っただけで、職員の方々が気軽に使用できています。ワイヤレスアクセスポイントは固定式の製品が多いのですが、MXCW、MXWともに可搬性に優れています。複数種のマイクをマルチに組み合わせられるのも、Shureのメリットです。シュア・ジャパンの手厚いサポートも、私たちインテグレーターにとって非常に心強いですね」と述べています。
職員の負荷は大幅軽減、さらなるデジタル活用を目指す
Shureソリューションの導入によって、これまで長時間かかっていた議事録作成作業のほとんどを自動化でき、職員は修正作業のみになりました。深田氏は、Shureの優れたデジタル技術が職員の負荷を低減し、「住民サービスの品質維持に貢献する」と高く評価しています。
東神楽町では、札幌トランジスターと細かな検討を行って本会議場全体のスピーカー構成をカスタマイズし、参加者がより聞きやすい環境を整備しようと考えています。また深田氏は、町役場内でオンライン会議が増えていることから、Shureのマイクシステムを連携・活用できないかと検討中とのことです。
「町議会に限られていたマイクシステムを、ほかの場所でも誰でも利用できるようにしたことで、職員の意識改革も進むと期待しています。ぜひ新しい工夫を生み出して、DXを推し進めてほしいですね。東神楽町は130年を迎え、庁舎も新しいデザインへと生まれ変わろうとしています。これを機に“DXを推進する町・東神楽町”として、先端技術を行政に活用しているところをアピールしたいですね」(深田氏)
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導入製品
製品名 | 量 | 説明 | |
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MXCW640 | 23 | Microflex Completeワイヤレス会議システム用ワイヤレス会議ユニット。議長、参加者、傍聴者、または会場収音用マイクロホンユニットとして設定可能。 | |
MXW8 | 13 | Microflex Wireless マイクロホンシステム対応のグースネックベース型送信機。5インチ(12.7cm)、10インチ(25.4cm)、15インチ(38.1 cm) のMicroflexグースネックマイクロホンに対応 | |
MXWAPT8 | 2 | Microflex Wireless マイクロホンシステム対応の、壁/天井にすっきりとマウントできる8チャンネルワイヤレスアクセスポイントです。 | |
IntelliMix P300 | 3 | シンプルながらも強力なDSPが、高品質、手軽、費用対効果に優れたビデオ会議アプリケーション向け音声を提供。 | |
MXW2/SM58 | 2 | Microflex Wireless マイクロホンシステム対応のハンドヘルド送信機 |