インタビュー：開発担当が語るMXN5-Cネットワーク・シーリング・スピーカー

Shure 会議音響向けオーディオ・エコシステムは、マイクロホンからDSP、さらにはスピーカーまでの完全なオーディオ信号チェーンを網羅し、小会議室から大型カンファレンススペースに至るまで、あらゆるタイプの環境に合ったネットワーク・オーディオ・ソリューションです。今回、Shureの主席マーケット・デベロップメント・スペシャリストであるトロイ・ジェンセン（Troy Jensen）と、Microflex™ MXN5W-Cネットワーク・シーリング・スピーカーについて話をすることができました。

クリス・ライオンズ：Shureからスピーカーが発売されようとは、おそらく長年のShureファンでさえも予想していなかったと思います。MXN5-Cについて簡単に紹介してください。

トロイ・ジェンセン：MXN5W-Cは、スピーチ向けの高音質ネットワーク・シーリング・スピーカーです。Microflex AdvanceアレイマイクロホンやIntelliMix® DSPとともに会議室で使用するのに最適なスピーカーです。

クリス：最初の質問です。通常のシーリングスピーカーやアンプの代わりにこのネットワークスピーカーを使用する理由は何ですか？

トロイ：第一に考えられる理由は外付けのパワーアンプが不要ということです。増幅回路はスピーカーの筐体に内蔵されていますので、パワーアンプの設置場所について心配する必要がありません。ですので、あとは必要な最大音圧レベルに応じて、PoE電源とPoE+電源のどちらを使用するかを検討するだけです。PoEで得られる音圧レベルは1 mの距離で約92dB SPLですが、PoE+の場合、同じ距離で約98dB SPLが得られます。音声と電源をイーサネットケーブル1本で伝送できるので、設置が非常に簡単です。

クリス：なるほど。では、気になる詳細の話に移りましょう。どのようなサイズなのか、入力定格や出力定格はどうかなど、詳しく聞かせてください。

トロイ：MXN5-Cを設置するには、天井ボードに約27 cmの穴を開ける必要があります。グリル自体の外寸はおよそ直径30 cm、深さ10 cm程度の薄型筐体です。往々にして天井裏のスペースには天井構造材のほか、空調、防火設備などの配管がひしめき合っているので、できる限り邪魔にならないように深さ10 cm程度に抑えました。

クリス：ドライバーサイズについてはどうですか？どのくらいのサイズのスピーカーが搭載されていますか？

トロイ：5.25インチ同軸ドライバーを搭載しています。各種ドライバーサイズを試し、エンクロージャー容積を踏まえて、検証した中で最もパフォーマンスが優れていた5.25インチを搭載することにしました。

クリス：では、信号のルーティングについてはどうですか？マイクロホンやプロセッサーといった他の機器と連携するように設定するにはどうするのですか？

トロイ：MXN5-CはDante対応ですので、もちろんDante Controllerを使ってルーティングできます。ただし、スピーカーだけでなく、Shureエコシステム全体を細かく調整したい場合は、Shure Designerソフトウェアを使用することをお勧めします。Shure Designerを使用すれば、室内で使用できるデバイスを確認したり、ドラッグ＆ドロップ操作でマイクロホン、プロセッサー、スピーカーをルーティングしたりすることができるほか、クリック1つで素早くシステムを最適化することもできます。また、スピーカー自体の設定を行なうことも可能です。MXN5-Cには、2系統のDante入力に加え、Dante出力もあります。「Dante出力があるのはなぜ？」と疑問に思う人がいるかもしれません。多くの場合、その室内のスピーカーから出力されている音声がAECリファレンスとして利用されます。そこで、P300オーディオプロセッサー、IntelliMix Roomソフトウェア、またはMXA910シーリング・アレイ・マイクロホンなどのAEC搭載デバイスに対して簡単にリファレンス音声をルーティングできるように、この機能を設けました。

クリス：そのほかにどんな機能やプロセッシングツールが搭載されていますか？

トロイ：4系統のダイナミクスプロセッサーと0～1000ミリ秒の範囲で設定可能なディレイを搭載するほか、ピンクノイズ、ホワイトノイズ、正弦波、およびスイープの4種類のノイズソースから選択できるシグナルジェネレーターも搭載しています。そのほかには4バンドのパラメトリックEQがあります。フィルターのタイプは、ローカット、ローシェルビング、またはパラメトリックから選択できます。あと、リミッターも搭載しており、デバイスを保護したり、室内の最大SPLレベルを設定し、それを超えないようにしたりすることができます。

クリス：素晴らしいですね。さきほど伺ったように、このスピーカーがShureエコシステムの一部ということは、オーディオチェーン全体にわたる信号の秘匿性確保に関して何らかの利点があるということですか？

トロイ：そのとおりです。デジタルオーディオ伝送のセキュリティを高めるために、ShureはマイクロホンからDSP、さらにはスピーカーまでのオーディオチェーン全体に対してAES-256暗号化機能の提供を実現しました。

クリス：それは素晴らしいですね。今日は、MXN5-Cネットワーク・シーリング・スピーカーについてお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

MXN5-Cネットワークスピーカーは、Shureのネットワークハードウェアおよびソフトウェアのエコシステムとシームレスに統合して、AVシステムを利用した会議アプリケーションに高品質の音声を提供します。詳細はこちらをご覧ください。