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イヤホンとヘッドホン―よくある8つの誤解

プロダクトマネージャのSean Sullivanが、ヘッドフォンやイヤフォンを取り巻く最も人気のある8つの神話や伝説をご紹介します。
June 29, 2016 |
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1.最も周波数レンジの幅が広いイヤホン/ヘッドホンの音質が一番良い

誤りです。
周波数レンジとは、ヘッドホンが生成する最低周波数と最高周波数を示しています。人間の聴覚の通常レンジはおよそ20Hz~20kHzとされていますが、一部の仕様はそれをはるかに超えたレンジ(5Hz~50kHzなど)を表示しており、大きな誤解を生み出しています。これは人間の聴覚をはるかに超えているだけでなく、この2つの数字の間に何が起きているのかについてはまったく説明していません。実際のところ、人間の耳は100Hz~10kHzの間の音に一番敏感なため、ヘッドホンがこのレンジ内で生成するエネルギー量の方がよっぽど重要で、20Hz以下または20kHz以上でどうであるかはさほど重要ではありません。

 

2.イヤホンやヘッドホンは大音量によって破損することがある

誤りです。
ヘッドホンまたはイヤホンは、それ自体の破損につながるボリュームに達するより先に『危険な音圧レベル(SPL)』に達してしまいます。この時点で製品の音量は上がらなくなり、これ以降は歪んだ音に聞こえるようになります。この歪み発生ポイントは製品に破損を与えるレベルの電気信号量よりも低いため、大音量(高SPL)自体が必ずしも製品を破損することはありません。しかし、きわめて高い電気信号の場合、破損することもあり得ます。

85デシベル(SPL)以上の音は聴覚に永久的な支障を与えますので、安全な音量に注意して使用するようにしてください。

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3.オープンバックヘッドホンはマスタリングおよびミックス用に限られる

誤りです。
音とは極めて個人的、主観的なものです。リスニングや音楽の聴き方に完全に「正しい方法」といったものはなく、すべてリスナーの好みによります。

オープンバックとクローズドバックまたはセミクローズドバックヘッドホンのもっとも大きな違いは遮音性です。オープンバックヘッドホンは、イヤーカップを通して音が入ってきます。静かな環境(自分のデスク、または家の中など)で、「頭の中が音楽でいっぱいになる」といった状態よりも「自分の周りの世界と共存している」リスニングエクスペリエンスを求めるリスナー向けです。クローズドバックよりもオープンで通気性があり、密閉感がありません。そのため、ユーザーがよりナチュラルに感じられるサウンドをもたらしてくれるという理由からプロフェッショナル用途でも人気が高いタイプです。

 

4.ノイズキャンセリングイヤホンは高遮音性(Sound Isolating™ )イヤホンよりも優秀である

誤りです。
これは優劣をつけられる比較にはなりません。ノイズキャンセリングは電子プロセスです。それぞれのイヤーカップには、耳の周りのアンビエントノイズをサンプリングするマイクロホンが搭載されています。このノイズ信号が電子回路を通って分析されてこのノイズのミラーイメージが作成され、これが音信号に合わせて戻されます。そしてこのミラーイメージの転換ノイズにより、実際のノイズが相殺されるというわけです。この手法は1,000Hz未満の一定した低周波ノイズ(航空機のエンジンや通気システムのハム音など)に対してもっとも有効で、スピーチなどのように絶えず変化する音の除去にはあまり効果を発揮しません。

そして電子プロセスであるからには、ノイズキャンセリング回路にはバッテリーが必要となります。そして他のあらゆる回路と同じく、一定のヒス音や、いくらかのデジタル処理ノイズも発生します。一部のユーザーはノイズキャンセリングヘッドホンを着用している際に何かがすれるような音がしたり、耳が感じる空気圧が左右で違うなどと報告しています。

高遮音性(Sound Isolating™ )イヤホンはパッシブ機能です。イヤープラグと同様で、Shureのイヤホンに付属するスリーブが耳にフィットし、物理的に外部ノイズが耳に入るのをブロックします。そのためしっかりとフィットしていることが重要で、Shureではイヤホンに複数のサイズと種類のイヤスリーブを付属しています。

実際、遮音はノイズキャンセリング回路よりもノイズ低減に優れています。遮音は可聴スペクトラム全体において作用し、低周波数にのみ働くというわけではありません。遮音はスピーチ、テレビの音、その他の音楽などをブロックするのに優れ、飛行機、電車、徒歩などで移動中にもその効果を発揮します。また電子部品がないためバッテリーも必要なく、それに伴うヒス音なども発生しません。音楽、映画、ゲームなど、聴きたい音のみが存在するというわけです。

すべてのShureイヤホンは高遮音性です。

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5.ヘッドホンのイヤーパッドの消臭は交換でのみ可能である

誤りです。
使用を重ねるにつれ、イヤーパッドの加工素材には取れない臭いがついてしまいますが、イヤーパッドの寿命は次のようにして延ばすことが可能です。

  • ヘッドホンを使い終わったら、湿らせた布に少量の食器洗い洗剤をつけてイヤーパッドをふき取りましょう。
  • 洗浄力の強い洗剤は特にお勧めで、皮脂などの脂分を効果的に取り除くことができます。次に清潔な布を軽く湿らせて洗剤をふき取ります。最後にペーパータオルまたは乾いた布でイヤーパッドを乾かします。
  • イヤーパッドを太陽の光に60分間あてます。不快なにおいを取り除く効果があります。

イヤーパッドの交換が必要な場合は、お近くのShure国内正規販売店までモデル名をご確認の上お問い合わせください。

 

6.過剰な汗はイヤホンを破損する

誤りです。
プロのパフォーマーたちはShureのイヤホンをステージ上で何年にもわたって使用しています。一度に何時間も着用し、大量の汗にさらされることも稀ではありません。すべてのShureイヤホンは熱、湿気、塩水スプレーに対してテストされており、このような状況でも正常に動作することが確認されています。

しかし極端な状況、極度の湿気はイヤホンの出力レベルを低減したり、音質に影響を与えることがあります。このような場合でも、イヤホンが完全に乾いた後(たとえば一晩乾かした後など)には正常な動作に戻ります。通常のステージ上またはジムなどでの使用により性能の変化に気づくということはほとんどありえないでしょう。

それでも、使用後にタオルやティッシュでイヤホンをふき取るのは良い習慣です。大量の汗からイヤホンを守るために、フォームスリーブを使用している場合は1週間に1度など、通常よりも頻繁に交換してもよいでしょう。プラスチックまたはシリコンゴムのスリーブは湿気を吸収しないため、このような環境でも繰り返し使用できます。

耳垢やその他の汚れなどは、使用説明書に従って定期的に清掃してください。Shureのイヤホンには、イヤホンを破損することなく適切に清掃できる便利なツールが付属しています。

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7.クアッドドライバー搭載のイヤホンはシングルまたはデュアルドライバー搭載のイヤホンよりも優秀である

誤りです。
左右それぞれに1つのドライバーを搭載するイヤホン(シングルドライバーイヤホン)はすべての可聴レンジ(20Hz~20kHz)で音を生成できます。ではなぜ1つ以上のドライバーを使う必要があるのか?これはシングルドライバーの動作には制限があるからです。ここにいくつか例をあげて見ましょう。

  • ゆがみが発生し始める音量がそれほど高くない
  • 音の「カーブ」(低域から高域までの周波数の相対レベル)に制限がありえる
  • 変更にはEQまたはその他の処理が必要である

これらの制限に対応するため、通常は左右それぞれのイヤホンに複数のドライバーが搭載されています。また周波数レンジをさらに分離するため特別なフィルタリングを搭載して、1基のドライバーが特定のレンジにフォーカスできるようにしています。これにより効率性が増し、全体的なレベルも向上します。これはステレオスピーカーに使用されるテクノロジーと同様です。オーディオ信号の入力は2つ以上のオーディオパスに(ドライバーの数に応じて)分離され、それぞれのパスが特定の周波数レンジに応じて最適化されます。

それでもなお、マルチドライバーイヤホンの方がシングルドライバーイヤホンよりも性能が高いという保証にはなりません。実際、マルチドライバーイヤホンでもデザインが良くなければ周波数特性に問題があったりノイズが出たりすることで音質が下がったり、さらにはミュージシャンやサウンドエンジニアによるパフォーマンスが不正確になったりミックスに影響を及ぼすこともありえます。

 

8.コンデンサー型スピーカーは他のタイプのスピーカーと比べて低周波数域を再生しない

誤りです。
これは標準的な耳かけタイプのヘッドホンやフルサイズのフロア用スピーカーではありえますが、イヤホンには当てはまりません。KSE1500 が良い例でしょう。

従来、コンデンサー型スピーカーの問題は高域の再生はすばらしいけれども低域の再生には弱いと言われてきました。しかしこれはミニチュア化されたコンデンサー型高遮音性イヤホンの場合、中耳腔に密閉されるという状態がプラスに働きます。イヤホンと耳管の間に存在する空気はかなり少なく、そのため物理的にKSE1500は低域を効率的に再生することが可能なのです。

KSE1500
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Sean Sullivan
Sean is the global product manager for earphone and headphone products at Shure. A graduate of Columbia College Chicago with a BA in sound engineering, Sean began his career at Shure in 2005 and is proud to be part of the teams developing products he uses regularly. In his free time, Sean performs in a four-piece band throughout Chicagoland and roots for his sons with his wife at the local baseball fields.

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