マイク 周波数特性表の見方

マイク 周波数特性表の見方

シェアする Facebook Twitter LinkedIn

マイク 周波数特性表の見方

Facebook Twitter LinkedIn

周波数特性の見方をご存知ですか?周波数特性を表す表やグラフは、説明を簡潔にする目的で作られていますが、より難しく見せてしまっている場合もあるかも。ここでは周波数特性の見方をご説明します。

ヘッドホンやイヤホンのパッケージで、人間には聴こえない範囲まで周波数帯域の広さが強調されている場合、これはいわゆる販売戦略とでもいえるかも知れません。でもマイクの周波数特性表示は、それと違いマイクを選ぶ際にとても重要。なぜなら周波数特性は、どのマイクがどの用途に向いているか、いないかを表しているからです。

周波数特性の見方をご存知ですか?周波数特性を表す表やグラフは、説明を簡潔にする目的で作られていますが、より難しく見せてしまっている場合もあるかも。ここでは周波数特性の見方をご説明します。

 

表の作成

周波数特性は、マイクロホンを無響室でテストして作成します。無響室とは音声試験のためだけに作られた特別な部屋のことで、音響がまったくなく、音の反射が一切起きないよう設計された空間。

1

Shureの無響室

マイクは較正されたスピーカーの前に設置されます。この状態でピンクノイズ(どのオクターブの帯域でみても音の大きさが同じ音のこと)を再生し、マイクロホン信号がスペクトラム分析器に送られて周波数特性の曲線が作成されます。

 

周波数特性表の見方

曲線は通常、人間の耳の可聴範囲の20Hzから20kHzの範囲で示されています。この曲線の見方は次のとおりです。

まず水平に並んだ数字が周波数(20Hzから20kHz)、そして垂直に並んだ数字が相応する出力レベル(単位:dB(デシベル))を示しています。周波数特性の曲線を見れば、そのマイクロホンが一定の周波数でどのように機能するかがわかるのです。

 

Shureの人気マイク2モデルの比較

それでは、この情報がどのように役に立つのか、いくつかの例を見てみましょう。下の表は、あらゆる場所で使用されている有名なSM57の周波数曲線です。

2

RELATVE RESPONSE IN dB: 相対感度(単位:dB) , FREQUENCY IN HERTZ: 周波数(単位:Hz)

 

SM57の周波数特性

SM57 の周波数特性は特にスネアドラムのような楽器に向いています。スネアドラムの基本となる周波数は150Hzから250Hzの間に当てはまり、その範囲においてSM57の周波数特性がフラットあるいはニュートラルだからです。

つまり、この周波数では自分の聞いているスネアの音がそのままマイクに入り、そして出力される音も変わらずに聴こえる、ということなのです。

表の右側では凹凸が見られますが、この部分はまさにスネアの「スナップ」の周波数が起きるところです。さらに、低周波数側でロールオフしているため、スネアのすぐ横に設置されることの多いキックドラムの音を適度に抑えるのに最適です。この組み合わせにより、ほぼすべてのエンジニアにとってスネアドラム用マイクとして最適な性能、つまりスネア自体の音を捉え、スナップを効かせ、そして近接した他の楽器の音は抑えるというバランスが実現するのです。

それでは次に、もう一つの有名なShureマイク、BETA® 58A について見てみましょう。

3

RELATVE RESPONSE IN dB: 相対感度(単位:dB) , FREQUENCY IN HERTZ: 周波数(単位:Hz)

 

BETA58A周波数特性

BETA 58A はボーカルマイクとしてとても人気のあるモデル。2,000~10,000Hzでの周波数応答の上昇が、声に明瞭な鮮やかさを与えます。マイクを口に近づけると近接効果により低音が強調され(表の点線を参照)、豊かで温かみのある声を実現します。

 

マイクと音源をペアリングする

次に、マイクで何を録るかを考えましょう。楽器および声には、下図の表に示されるように周波数レンジがあります。濃いオレンジ色は基本周波数レンジを示し、薄いオレンジ色は音源の最高音のハーモニクスやオーバートーンのレンジを示しています。

楽器のレンジ全体でフラットにレスポンスできるマイクが、最も自然な音を再現できることになります。

4

 

ボーカルおよび楽器の周波数特性

SM57の周波数レンジをこの表と比べると、なぜこのマイクがあらゆる場所で重宝されているのかがわかることでしょう。「業界一の働き者」と言われることもあるほど、このマイクはほぼすべての楽器の周波数を自然に捉えられる素晴らしい性能を持っているのです。

さらに表の見方を学びたいという方は、Shureウェブサイトから閲覧できるマイクの仕様書をご利用ください。上図の楽器表を使用して、様々なマイクの周波数レンジと比べてみると良いでしょう。スタートとしては、PG56、BETA® 181、またはマイケル・ジャクソンのアルバム「スリラー」で名を馳せたSM7Bなどがお勧め。最も活用される用途とマイクとをマッチできるか試してみてください。そしてこのような知識がいずれ、あなた自身が特定の用途に合わせてマイクを選ぶときに役立つことでしょう。